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2026.09.25

AIが広告を作る時代

広告制作がAIに置き換わり始めている

広告の制作や配信は、いま急速にAIへ移りつつあります。Metaは、製品画像と予算を入力するとAIが広告の生成、InstagramやFacebookでのターゲティング設定、予算配分までを自動で決める仕組みの開発を進めていると報じられました。2026年末に完成が見込まれており、これまで人が時間をかけて行っていた工程の多くが、数年のうちに置き換わる可能性があります。

広告の世界では、以前から自動化が進んできました。検索連動型広告の入札調整や配信先の最適化などは、すでにAIが担う領域です。今回の変化が特徴的なのは、企画・制作・配信設計という「クリエイティブに近い部分」にまでAIが入ってきている点です。これまで人の感性や経験が必要だと考えられていた工程が、機械によって一気に効率化されつつあります。

この流れは、広告主だけでなく広告代理店にも影響を与えています。2025年には、博報堂によるオプトの子会社化やNTTドコモによるCARTA HOLDINGSの子会社化など、業界の再編が相次ぎました。生成AIによる業務の自動化が加速する中で、大手ECモールがマーケティングを内製化する動きも見られ、広告業界の構造そのものが変わりつつあります。

「作業」は減るが、「判断」は増える

広告担当者の仕事がなくなるわけではありません。AIは最適化や自動化には強い一方で、「何を伝えるか」「どの価値を打ち出すか」「どの表現が企業らしいか」といった判断は、人間が担う必要があります。AIが出力した案が数字の上で優れていても、ブランドの世界観や社会的な文脈に合わないことは珍しくありません。

むしろ、問題の本質を見極め、解決の方向性を決めるクリエイティブな業務は今後さらに重要になると考えられます。作業量が減る分、その時間をどこに使うかが担当者の価値を左右する時代になっています。AIに任せられる部分を明確にし、人が判断すべき部分に集中できる体制をつくることが、これからの組織づくりの鍵になるでしょう。

PR担当者に求められる3つの視点

1. 発信内容の一貫性を守る

AIが大量の広告や記事を生成する時代には、メッセージがぶれやすくなります。サイトの表現、SNSの投稿、広告のコピーが別々の方向を向いていると、受け手は企業の姿を捉えにくくなり、信頼を損ねる原因にもなります。スピードを優先するあまり、発信の質が均一でなくなるリスクは、以前よりも高まっています。

そのため、自社が何を大切にし、どんな言葉で語るのかを明文化しておくことが重要です。パーパスやブランドガイドラインといった土台があれば、AIに任せる部分と人が最終判断する部分の線引きもしやすくなります。AIに指示を出す際にも、その土台があるかどうかで出力の質は大きく変わります。

2. AI検索で「見つけてもらえる」情報設計を行う

情報の探し方も変わりつつあります。従来は検索エンジンで複数のサイトを比べるのが一般的でしたが、現在はChatGPT検索やPerplexity、Google AIモードなどのAI検索で、答えを直接得る人が増えています。ユーザーは検索結果の一覧を順に開くのではなく、AIがまとめた回答を読んで判断するケースが少なくありません。

この環境では、企業の情報がAIに正しく理解され、回答に反映されることが重要になります。公式サイトや記事の構造を整え、事実や特徴が明確に伝わる文章にしておくことが、AI時代の新しい露出対策となります。採用の場面でも、求職者がAI検索で企業を調べるケースが増えており、求人情報の掲載状況を把握することは採用担当者にとって無視できない課題になっています。

広告の自動化と並行して、こうした「AIに読まれる情報」を整える取り組みも、PR担当者の役割として広がっていくでしょう。

3. 人間らしい共感を設計する

広告が自動化されるほど、受け手は「誰が、どんな思いで発信しているのか」に敏感になります。効率的につくられた広告は、情報としては伝わっても、心には残りにくいことがあります。同じような見た目や言い回しの広告が増えれば、埋もれてしまうリスクも高まります。

企業の背景や創業の物語、社員の言葉、現場の声などは、AIには代替しにくい要素です。数字や効率だけでなく、人の顔が見える発信を意識することが、他社との差別化につながります。あえて手間をかけた発信こそが、機械化の時代に価値を持つという見方もできます。

今日から始められること

大きな変化の中でも、PR担当者が今すぐ取り組めることはあります。まず、自社の公式サイトや主要な記事が、AI検索でどのように紹介されているかを確認してみることです。次に、ブランドの軸となる言葉を社内で共有し、広告や記事の制作時に立ち返れる基準を作ることも有効です。そして、AIツールを実際に使い、どの作業を任せられるかを自分の手で把握しておくことも欠かせません。

まとめ

AIは広告制作の「how(どう作るか)」を変えつつありますが、「what(何を伝えるか)」と「why(なぜ伝えるか)」を決めるのはまだ人間です。PR担当者は、AIを使いこなしながら、自社の言葉と信頼を守る役割へと広がっていくでしょう。変化の速い時代だからこそ、土台となる発信の軸を見直すことが、これからの一歩になります。


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